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高山病[私の治療]

No.5270 (2025年04月26日発行) P.36

工藤大介 (東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座救急医学分野准教授)

久志本成樹 (東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座救急医学分野教授)

登録日: 2025-04-24

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  • 富士山など標高2500m以上の登山や,高地への飛行機移動でしばしばみられる急性高山病と,重症病態である高地脳浮腫および高地肺水腫では,緊急性と重症度が大きく異なる。
    重症病態に対しては,高所での限られた医療資源で治療を行いながら,早急に低地に移送することが重要である。

    ▶病歴聴取のポイント

    登山などによって気圧や酸素濃度が低い高地環境に曝された際に,環境変化に適応できず,頭痛,嘔気・嘔吐,疲労・脱力感,めまい,睡眠障害などの症状を呈する状態が急性高山病である。

    急性高山病は,通常2500m以上で発症するが,2500m未満でも同様の症状を呈することもある。重症化のリスクは,若年,到達高度,高地への到達速度である。高地脳浮腫は,急性高山病から進行し,頭蓋内圧亢進による精神症状,運動失調,意識障害などを呈する。高地肺水腫は,非心原性肺水腫であり,頻呼吸や呼吸困難,起坐呼吸などを呈する。

    高地環境への曝露状況とこれらの症状を聴取することが,最も大切なポイントである。

    ▶バイタルサイン・身体診察のポイント

    【バイタルと意識状態】

    • 急性高山病では,バイタルサインの大きな異常を呈さない。
    • 高地脳浮腫では,意識障害を呈することがある。
    • 高地肺水腫では,頻呼吸を呈する。

    【身体診察】

    • 高地脳浮腫の症候として,複視,運動失調などを確認する。
    • 高地肺水腫では,チアノーゼ,湿性ラ音の聴取などを確認する。パルスオキシメータがあれば,動脈血酸素飽和度のモニタリングをする。

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