厚生労働省は12日、臨床研究「CASE-J」を用いた武田薬品工業の降圧剤カンデサルタン(商品名:ブロプレス)の広告が、医薬品医療機器法(旧薬事法)が禁じる誇大広告に当たるとして、同社に業務改善命令を行った。厚労省が誇大広告で行政処分を行うのは初めて。
厚労省によると、誇大広告にあたると判断したのは、(1)統計的有意差がないにもかかわらず、グラフの交差部分に矢印を用いて、“ゴールデン・クロス”と最大級の表現で強調、(2)脳卒中等の発現率が低く見えるように、論文掲載のグラフに比べてずれたグラフを使用、(3)糖尿病など承認されていない効果を「切り札」と強い表現で提示─の3点。
厚労省は同社に対し、外部の有識者を含めた審査体制を整備するなどの再発防止計画を1カ月以内に提出するよう求めた。業務改善命令を受け、武田薬品工業は同日、「必要な改善策を継続して実施する」とのコメントを発表した。
CASE-Jを用いたカンデサルタンの広告に関しては、本誌4691号(2014年3月22日号)で由井芳樹氏が論文と広告のグラフのずれなどの疑義を指摘していた。