国立長寿医療研究センターなどの共同研究グループは16日、会見を開き、徐脈や気管支喘息に用いられるアドレナリン作動薬のイソプロテレノールが、アルツハイマー型認知症の原因となる神経細胞脱落を抑制することを動物実験で確認したと発表した。研究成果は同日、『Nature Communica-tions』誌に掲載された。
グループは神経細胞脱落を引き起こすタウ蛋白質の凝集を阻害する化合物を理化学研究所の天然化合物ライブラリーから探索。候補として見出された化合物のうち「D/L-イソプロテレノール」をマウスに3カ月間投与したところ、神経細胞脱落を抑制する効果が確認され、神経活動の低下や異常行動の改善も示された。
同センターの高島明彦分子基盤研究部長は会見で、「βアミロイドではなく、タウ蛋白質の凝集を標的とし、凝集阻害の機序まで明らかにした点で画期的な成果」とした上で、治療薬開発に向けて「人を対象とした医師主導治験になるべく早く取り組みたい」と述べた。