自民党の厚生労働部会(部会長=古川俊治参院議員)は4月27日、臨床研究を法規制する「臨床研究法案」について審議し、了承した。今国会に提出される見通し。同法案は相次ぐ臨床研究の不正発覚を受けて検討されていたもの。厚労省検討会が2014年に臨床研究の法制化を求める報告書をまとめており、厚労省がこれに基づき法案を作成した。
法案の規制対象となる「特定臨床研究」は、「未承認・適応外の医薬品等の臨床試験」と「製薬企業等から資金提供を受けた医薬品等の臨床研究」。不正研究では、データ改竄、記録の破棄、利益相反管理が不十分といった問題があったことから、法案では臨床研究の実施者に対して、モニタリングや利益相反管理等に関する実施基準の遵守、記録の保存等を義務づける。
また、従来の倫理審査委員会は不正の歯止めにならなかったため、大臣の認定を受けた「認定臨床研究審査委員会」を設置することとし、同委員会の意見を聞いた上で実施計画を大臣に提出することを義務づけた。さらに、行政指導に強制力を持たせるため、実施基準に違反した場合、大臣は改善命令を行い、従わない場合には臨床研究の中止を命じることができることとした。
このほか、製薬企業に対する規制も強化。医薬品等の臨床研究に対して資金提供する際の契約の締結と、資金提供の情報の公表を義務づける。公表範囲については、研究費のほか、研究責任者個人や所属機関に対する寄附金や原稿執筆料・講師謝金等で、詳細は法案成立後に省令で定める。
【記者の眼】
前回の厚生労働部会では規制対象が限定されていることに異論が出ていたが、今回示された法案では附則で「法律の施行後2年以内に、遺伝子の導入を伴う臨床研究その他の十分な科学的知見が得られていない医療に関する有効性及び安全性の検証の在り方について検討を加え、法制上の措置その他の必要な措置を講ずる」との検討規定が付き、自由診療や手術・手技の臨床研究の規制について今後検討する方針が示され、了承に至った。(N)