【Q】
前立腺癌に対する前立腺全摘術におけるリンパ節郭清は,以前は診断的な意味合いが強かったのですが,現在ではハイリスクの前立腺癌に対して拡大リンパ節郭清が根治性向上のために行われるようになっています。臨床上,リンパ節郭清についてどのような指針で対応しておられるでしょうか。前立腺癌に対するリンパ節郭清の意義や施行方法などについて,東京女子医科大学・飯塚淳平先生のご教示をお願いします。【A】
前立腺全摘術におけるリンパ節郭清は,従来,閉鎖リンパ節のみ(もしくは外腸骨リンパ節を含む)の限局郭清が主流でした。リンパ節郭清には診断的意義しかなく,治療的意義はない,と考えられていたからです。一方で,近年の欧米のガイドラインにおいては拡大リンパ節郭清が標準的手技として位置づけられており,従来の限局郭清では多くの見落としが起こるため,もはや施行すべきではない,とすら記されています。リンパ節郭清を行うか否かの適応はガイドラインにより若干の相違がありますが,その有用性は特に高リスク症例において明らかとなってきています。