【Q】
前立腺全摘除術は,術式こそロボット支援,腹腔鏡,開腹と様々ですが,前立腺癌に対する局所療法におけるゴールドスタンダードであると思います。もう一方のスタンダードである放射線治療と比較した際に,患者にとって重要な問題となるのは術式を問わず,術後尿禁制であると思います。術後,早期に尿禁制を回復するため,これまで様々な術式が開発されてきました。私たちは腹腔鏡下手術を行っており,いくつかの尿禁制改善のための術式を取り入れていますが,今でも術後尿失禁が遷延する症例を稀に経験します。術後の尿禁制を保持するための術式の工夫や術後ケアなどについて,福島県立医科大学・小島祥敬先生にご教示頂きたいと思います。【A】
前立腺癌に対する根治的前立腺全摘除術後に発症する尿失禁は,腹腔鏡下手術やロボット支援手術が主流になりつつある今日でも,完全に解決することができない難しい合併症です。しかし,患者さんのQOL向上をめざして,術式に改良を加えていくことが大切であると思います。私たちは,尿禁制機構に重要な骨盤内の解剖学的構造の“温存”“再建”“補強”が,前立腺全摘除術後の尿禁制の保持に重要と考えています。