【Q】
欧米では術前放射線化学療法が積極的に行われてきましたが,近年,適応の見直しも議論されるようになりました。また,分子標的薬の登場に伴い術前化学療法を行う臨床試験も近年行われています。【A】
術前放射線化学療法の有用性は,欧米の臨床研究を中心に報告されていますが,骨盤内再発(局所再発)を低下させるものの,全生存期間の延長効果については明らかになっていないと思われます。これは,放射線療法と組み合わせる化学療法が5-FU単剤であることが多かったため,全身化学療法が不十分であった可能性があります。最近行われている臨床研究では,イリノテカンやオキサリプラチンを併用していることが多く,生存期間の延長効果が期待できると思われます。