【質問者】
大屋夏生 熊本大学医学部放射線治療科教授
食道癌の根治切除術後のリンパ節転移再発に対して大きな前向き比較試験はこれまでありません。しかし,放射線化学療法(主にCDDP+5-FU併用)が標準的に行われるようになってきています。『食道癌診断・治療ガイドライン』(2012年版)では「長期生存症例も少なからずあることも明らかであり,積極的な治療が望まれる」との表現にとどまっています1)。2000年代後半以降の報告をみると,それ以前よりも著明に改善してきています。吻合部の再発に比べ,リンパ節転移再発のみの症例は予後が良好であり,特に転移リンパ節数が少ない症例では約40%の長期生存が期待できる結果が出ています2)。リンパ節転移の腫瘍径も予後に関係していると考えられます。近年の治療成績の改善は画像診断の発展による早期発見例の増加によるところも大きいと思われます。
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