特発性肺線維症(IPF)を含む特発性間質性肺炎(IIPs)の診断には当初,外科的肺生検が必須であった。その後の臨床所見の蓄積,高分解能CTによる診断の向上などで臨床・放射線・病理による集学的な診断に重点を置く傾向となっている。2002年の米国胸部学会と欧州呼吸器学会のconsensus statement以後の知見を集約し,2013年に出されたIIPsの集学的分類の声明では(文献1),IIPsの分類は,従来の7疾患から主要6疾患に加え,稀な2疾患と分類不能IIPsとし,特に以前の7疾患のうちリンパ球性間質性肺炎が稀な疾患に再分類された。また,主要6疾患を3つのカテゴリーにわけ,しばしば異同に悩むIPFと特発性非特異性間質性肺炎が慢性線維化間質性肺炎という範疇に入った。わが国でよく用いられるKL-6などのバイオマーカーについても,初めて触れられている。
IPF治療薬である抗線維化薬ピルフェニドンは,世界で初めてわが国で承認された。米国では未承認であるが,米国を中心とした第3相試験(ASCEND)の結果が今年発表され(文献2),ピルフェニドンはFVCの低下または死亡で示されるIPFの進行を有意に抑制することが示された。また,トリプルキナーゼ阻害薬nintedanibを用いた国際第3相試験(INPULSIS)の結果も同時期に報告され(文献3),FVCの低下を有意に抑制することが示された。有効な治療薬がほとんどなかったIPFの治療が,今後大きく変わる可能性がある。
1) Travis WD, et al:Am J Respir Crit Care Med. 2013;188(6):733-48.
2) King TE Jr, et al:N Engl J Med. 2014;370(22): 2083-92.
3) Richeldi L, et al:N Engl J Med. 2014;370(22): 2071-82.