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高齢者における帯状疱疹ワクチン

No.4724 (2014年11月08日発行) P.44

小島太郎 (東京大学老年病科)

登録日: 2014-11-08

最終更新日: 2016-10-26

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高齢者における帯状疱疹の発症頻度は高く,わが国でも70歳代で罹患率が8/1000人/年に及ぶとする調査(文献1)がある。原因となる水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)は若年期に95%以上が抗体を保有している。感染後,VZVはそのまま後根神経節にとどまり,加齢や疾患に伴う細胞性免疫の低下によって再活性化を起こして帯状疱疹を発症するとされる。実に85歳までに50%以上が帯状疱疹を発症すると報告され,特に帯状疱疹後神経痛はQOLに大きく影響する病状である。
抗ウイルス薬による治療は帯状疱疹には有効であるが,現在のところ,今世紀になって確立された帯状疱疹ワクチンの接種以外に帯状疱疹後神経痛に有効な治療・予防法はないとされている(文献2)。
この帯状疱疹ワクチンは,韓国(2013年~)をはじめ海外各国でも上市されている。特に高齢者の帯状疱疹予防を目的に広くワクチン接種が始まっており,欧州では老年医学会が高齢期における標準接種を推奨しているが,残念ながらわが国では小児に接種される水痘生ワクチンはあるものの,帯状疱疹予防用のワクチンはない。
しかしながら,わが国で製造された既存の水痘ワクチンは海外と比較して力価が高く,初感染予防のみならず帯状疱疹発症へと導くウイルスの再活性化予防として有効である可能性が報告されている。現在のところ水痘既感染者は適用外であるが,本ワクチンの帯状疱疹予防への適用拡大が望まれる。

【文献】


1) Toyama N, et al:J Med Virol. 2009;81(12): 2053-8.
2) Oxman MN, et al:N Engl J Med. 2005;352(22): 2271-84.

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