ホルモン療法に抵抗性となった前立腺癌を,今日では去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)と呼んでいるが,長年CRPCに対して生存期間の延長が期待できる薬剤はなかった。2004年に,ドセタキセルの使用によって有意に生存率が改善することが確認された(文献1)。しかしながら抗癌剤ということもあり,全身状態の悪い患者では使用できない場合も多く,新規の薬物治療の開発が望まれていた。その1つがエンザルタミドであり,従来の非ステロイド性抗アンドロゲン薬よりも強い活性を持つことにより,CRPCに対してプラセボ群と比較して全生存期間の延長を認めることが示された(文献2)。
男性ホルモンの合成酵素阻害薬であるアビラテロンは,主に副腎由来の男性ホルモンの合成を抑制することにより,CRPCに対して効果を発揮する。この薬剤も,CRPCに対して全生存期間を延長することが示されている(文献3)。ドセタキセルの誘導薬であるカバジタキセルに関しても,ドセタキセル使用後の再燃例に対して効力があることが示されている(文献4)。
今後はどの薬剤をどのタイミングで使用するかについて,検討が必要になるであろう。
1) Tannock IF, et al:N Engl J Med. 2004;351(15): 1502-12.
2) Beer TM, et al:N Engl J Med. 2014;371(5):424-33.
3) Ryan CJ, et al:N Engl J Med. 2013;368(2):138-48.
4) de Bono JS, et al:Lancet. 2010;376(9747): 1147-54.