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慢性肺アスペルギルス症の診断と治療

No.4726 (2014年11月22日発行) P.53

宮崎泰可 (長崎大学第二内科講師)

河野 茂 (長崎大学第二内科教授)

登録日: 2014-11-22

最終更新日: 2016-10-26

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わが国ではこれまで,慢性に経過する肺アスペルギルス症のうち,抗真菌薬投与を必要とする疾患群を臨床的に慢性壊死性肺アスペルギルス症(CNPA)と診断していた。しかし,CNPAとは本来病理学的に定義された病型であるため,海外との間に疾患の定義にずれが生じていた。今回,真菌症フォーラムから新しいガイドライン(文献1)が発行され,以下のように慢性肺アスペルギルス症(CPA)の分類が提唱された。
CPAは,治療方針を決定する上で,病変が単一の空洞内に限定される単純性肺アスペルギローマと慢性進行性肺アスペルギルス症(CPPA)に大別して考える。CPPAには,CNPAと慢性空洞性肺アスペルギルス症(CCPA)が含まれるが,両者の鑑別には病理学的所見が必要である。CNPAは基本的に組織侵襲を伴うものである。一方,CCPAは臨床的に定義された病型であり,組織侵襲はない。実臨床ではCNPAとCCPAを厳密に区別することは困難であり,治療法の選択においても重要ではない。
注射薬ではミカファンギンが第一選択となる。CPAに対するミカファンギンとボリコナゾール点滴のランダム化比較試験(RCT)(文献2)で,両者は同等の有効率(60.0% vs. 53.2%)を示したが,副作用発現率においては,それぞれ26.4% vs. 61.1%と,ミカファンギンのほうが有意に低かった。

【文献】


1) 深在性真菌症のガイドライン作成委員会, 編:深在性真菌症の診断・治療ガイドライン2014. 真菌症フォーラム, 協和企画, 2014.
2) Kohno S, et al:J Infect. 2010;61(5):410-8.

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