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stageⅠ,Ⅱ食道癌に対する 術前化学放射線療法は有用か

No.4741 (2015年03月07日発行) P.48

夏越祥次 (鹿児島大学消化器・乳腺甲状腺外科教授)

登録日: 2015-03-07

最終更新日: 2016-10-26

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食道癌に対する外科療法および化学放射線療法の治療成績はともに向上がみられる。
進行度がstageⅠ,Ⅱの食道癌において,手術単独治療群(S群97例)と術前化学放射線療法施行後に手術が行われた群(CRT群98例)が無作為化比較試験で検討された(文献1)。化学療法としてフルオロウラシル800mg/m2とシスプラチン75mg/m2を2コース,照射が計45Gy行われた。観察期間の中央値は93.6カ月であった。
CRT群とS群で,R0切除率は93.8%と92.1%で有意差はなく(P=0.749),3年生存率も47.5%と53.0%で差はみられなかった(P=0.94)。術後死亡率は11.1%と3.4%で,CRT群のほうが有意に不良であった(P=0.049)。CRT群の死因としては大動脈破裂,乳び胸,縫合不全,胃管壊死,肋骨虚血が各1例,急性呼吸不全2例,原因不明2例であった。一方,S群では肺炎,急性呼吸不全,不明が各1例であった。組織学的に,CRT群で33.3%に腫瘍の完全消失(CR)がみられている。
最近のメタアナリシスではCRT群のほうがS群に比べ治療成績が良いという報告が多いが,stageⅢ以上の進行癌が多く含まれているためかもしれない。また,本論文は欧州からであり,対象に腺癌が含まれていることも考慮しなければならない。術式は2領域リンパ節郭清であり,胸腔内吻合も行われているため,徹底的な上縦隔郭清が不足していることも考えられる。S群の治療成績はわが国と比較しても不良であり,今後多数例での検証が必要と思われる。

【文献】


1) Mariette C, et al:J Clin Oncol. 2014;32(23): 2416-22.

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