血中遊離癌細胞(CTCs)の意義についても各臓器で検討され,再発や予後との相関が報告されている。
大腸癌肝転移患者のCTCsと骨髄中の癌細胞(DTCs)が予後予測因子になるか検討された(文献1)。CTCsはサイトケラチン,CD45,DAPIで染色,DTCsはサイトケラチンAE1/AE3で染色し評価された。大腸癌肝転移194例中肝切除は153例に施行され,41例は非切除であった。CTCs陽性は19.6%に検出され,陽性頻度は非切除群では46%であり,切除群の11.7%に比べ有意に高率であった(P=0.001)。CTCsが2個以上では,全症例(P=0.002),切除群(P<0.001)ともに予後不良であった。多変量解析では2個以上のCTCsは,肝転移3個以上,R1切除および肝外病変とともに,強力な再発と死亡率に関する予知因子であった。
一方,DTCsは全症例の19.9%が陽性で,切除群(8.5%),非切除群(12.2%)で差はみられなかった。またDTCsの存在と臨床病理学的因子の間に相関は認められなかった。これまでの報告と同様に,大腸癌肝転移例でもCTCsの有無は予後などの予測因子になる。しかし,上皮間葉転換を起こした細胞は検出されていない可能性もあり,今後の検討を要する。DTCsは骨髄中で休眠状態にある細胞を検出しているため予後との相関がみられないが,長期的には関与があるかもしれない。
血中や骨髄中の癌細胞の着床機序の解明とともに,本研究のようなliquid biopsyが簡便な検査法として有用になると思われる。
1) Seeberg LT, et al:Ann Surg. 2015;261(1):164-71.