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Helicobacter pylori感染と胃の悪性リンパ腫

No.4758 (2015年07月04日発行) P.56

中﨑久美 (東京大学血液・腫瘍内科)

黒川峰夫 (東京大学血液・腫瘍内科教授)

登録日: 2015-07-04

最終更新日: 2016-10-26

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Helicobacter pylori(Hp)感染と胃の悪性リンパ腫の関係が注目されている。
Hp感染による慢性胃炎が,胃のmucosa-associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫の原因となることが,従前より報告されている。実際,Hp陽性の限局期胃MALTリンパ腫に対する治療の第一選択として,Hp除菌が日本胃癌学会(文献1)や日本血液学会(文献2)のガイドラインでも推奨されている。Hp除菌療法は胃MALTリンパ腫に保険適用が認められており,治療により約50%の患者でリンパ腫が消退する。
最近になり,胃MALTリンパ腫だけではなく,早期の胃びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B cell lymphoma:DLBCL)が,Hp除菌により消退する可能性が報告された。限局期のHp陽性の胃DLBCL患者50名を対象とした海外の臨床研究では,組織学的背景にMALTリンパ腫の要素を認めなかった16名全員が除菌治療に成功し,MALTリンパ腫を背景としてDLBCLに進展した34名中32名(94%)が除菌に成功した(文献3)。除菌療法が成功した患者を解析すると,MALTリンパ腫の要素が存在しない胃DLBCL患者の69%,MALTリンパ腫を背景とする胃DLBCL患者の56%が完全寛解に至り,いずれも再発なく長期生存が得られた。今後の検証が待たれるが,胃MALTリンパ腫だけではなく,早期の胃DLBCLの発生にHpが関与し,除菌療法に反応する可能性がある。

【文献】


1) 日本胃癌学会, 編:胃癌治療ガイドライン─付 胃悪性リンパ腫診療の手引き. 第3版. 金原出版, 2010.
2) 日本血液学会, 編:造血器腫瘍診療ガイドライン2013年版. 金原出版, 2013.
3) Kuo SH, et al:Blood. 2012;119(21):4838-44.

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