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原発性アルドステロン症の外科的治療

No.4759 (2015年07月11日発行) P.51

日比八束 (藤田保健衛生大学内分泌外科准教授)

登録日: 2015-07-11

最終更新日: 2016-10-26

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原発性アルドステロン症(PA)は二次性高血圧の原因となる疾患であるが,従来,頻度は低いと考えられていた。しかし,そのスクリーニングに血中アルドステロン濃度/血漿レニン活性の比(ARR)を指標とするようになって以来,実際には高血圧症例の3~10%程度を占めることが判明した。
PAは長期間放置すると高血圧症が治療抵抗性になり,脳,心血管,腎臓など重要臓器への重篤な合併症の発症リスクとなることから,早期に発見し治療することが必要である。その中でも,副腎片側性のアルドステロン産生腫瘍が原因のPAは,手術で治癒可能な高血圧症とされる。
副腎摘出術には以前は大きな切開を要したが,近年では鏡視下手術が標準的になり,低侵襲の手術で副腎を切除することが可能になった。アルドステロン産生腫瘍は一般に小さいことが多く,CT検査では描出されないこともある。従来,機能性局在診断としてデキサメタゾン抑制下131I-アドステロールシンチグラフィーが行われることが多かったが,決して感度の高い検査ではなかった。
一方,選択副腎静脈サンプリング試験は,侵襲性があるものの精度の高い検査で,日本内分泌学会のガイドライン(文献1)では,手術を検討する症例には推奨されていることから,従来に比べると施行数は増加している。しかしながら,同検査には高いスキルが要求され,実施可能な施設は多くはない。増加するPA手術症例に対し,どのように対応していくかが今後の課題である。

【文献】


1) 日本内分泌学会刊行委員会:原発性アルドステロン症の診断治療ガイドライン2009. 日本内分泌学会, 2009.

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