最近,前立腺癌患者の予後と,身体活動との関係が注目されている。
たとえば,2011年にハーバード大学から1週間に90分以上の早歩きをする患者では,1週間に90分未満の楽なペースで歩く患者に比べて全死亡リスクが46%低い,また,強い運動を1週間に3時間以上行う患者では,強い運動を1週間に3時間未満しか行わない患者に比べて死亡リスクが49%低い,という研究が報告された(文献1)。
また,16年には前立腺癌診断後の全活動性が高い症例は,低い症例と比較して明らかに全死亡率が低く,リクレーショナルな活動性が豊富な症例は,そうでない症例と比較して明らかに前立腺癌特異的死亡率が低い,とするカナダの前向き研究が報告された(文献2)。
運動によって,前立腺癌患者の全生存率のみならず,がん特異的生存率が改善するということは,実に興味深い。運動が予後に良い影響を与えることは前立腺癌のみならず,ほかのがん,たとえば日本人の大腸癌でも指摘されている(文献3)ことから,日常診療でがん患者にはできるだけ運動を勧めてよいと考えられる。
1) Kenfield SA, et al:J Clin Oncol. 2011;29(6):726-32.
2) Christine M:Eur Urol. 2016, in press.
3) Pham NM, et al:Jpn J Clin Oncol. 2012;42(1):2-13.