認知症短期集中リハビリテーション(リハ)とは,2006年4月の介護報酬改訂により,介護老人保健施設の加算対象として承認されたリハであり,介護サービスメニューのひとつである。09年度の介護報酬改定では,さらにその効果が検証され,発展的に改定された。現在では多くの介護老人保健施設をはじめ,通所リハ,療養病床においても認知症の者への介護サービスとして位置づけられ,発展してきている。現在,介護老人保健施設の約30%がこの加算を請求している。
短期集中リハとは,認知症の利用者に対して3カ月間,週3回まで,20分単位で個別リハを行うことである(文献1)。行うにあたっては研修を受けた医師の指示のもとに理学療法士,作業療法士,言語聴覚士がアセスメントを行い,リハ計画を立案する。対象は認知症で,生活機能の改善が期待される者である。MMSEは5~25点の範囲を対象とし,在宅復帰を期待できる者となる。
通所リハでは週2回実施することとなった。資格のある医師の指示のもとで作業療法士,理学療法士,言語聴覚士が行う。
短期集中リハのメニューには,折り紙,クラフトワーク,手芸のほか,学習訓練療法,運動療法,個人回想法,個人音楽療法などがあり,いわゆる1対1の個人対応である。また,3カ月後には在宅復帰をめざすこととなっている。短期集中リハの効果としては,対象群はADLの改善に加え,活動,周辺症状,認知機能,意欲の低下などの指標において,対照群に比べて改善がみられた。
1) 大河内二郎:MED REHABIL. 2015;183:104-7.