B型大動脈解離は従来,破裂・分枝灌流異常がなければ保存的に加療されてきた。しかし,遠隔期における大動脈イベントの発生率は低くなく,5年での大動脈関連死亡が30%程度あるとされる。
急速拡大,分枝灌流異常などを合併する急性B型解離に対してステントグラフト治療の有用性が示され,現在第一選択となっている。しかし,合併症のないB型解離については,遠隔期の大動脈関連イベントの予防にステントグラフトが有用であるかは不明であった。
しかしながら,2013年に発表された無作為化比較試験であるINSTEAD-XL trial(文献1)で,急性期を生存しえた患者群では,5年間の追跡で,ステントグラフトは保存的加療よりも大動脈関連死亡率を低下させるというデータが公表された。そのため,今後B型解離に対するステントグラフト治療は増加すると思われる。
1) Nienaber CA, et al:Circ Cardiovasc Interv. 2013;6(4):407-16.