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下垂体腺腫の内視鏡下摘出術 【耳鼻科医と脳外科医が手術操作を協力】

No.4812 (2016年07月16日発行) P.55

田原重志 (日本医科大学脳神経外科講師)

森田明夫 (日本医科大学脳神経外科主任教授)

登録日: 2016-07-16

最終更新日: 2021-01-06

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内視鏡下経鼻的下垂体腫瘍摘出術(eTSS)の現状
2012年の診療報酬改定で内視鏡下経鼻的下垂体腫瘍摘出術(K171-2)が新設され,顕微鏡から内視鏡手術へのシフトが行われている。わが国では内視鏡をholderで固定して手術を行う2 hand techniqueが主流であったが,近年,耳鼻科医が内視鏡を操作し,脳外科医が手術操作を協力して行う4 hand techniqueが試みられている。eTSSの視野は100°前後と広角で,頭蓋内に大きく進展する腺腫にもeTSSが応用されているが,最近,正中頭蓋底部を開放し,トルコ鞍上部に直接侵入し,腫瘍と視神経や血管,脳実質を直視下に剝離していく方法が行われている(拡大法)。本法は術中髄液漏の修復が課題であったが,最近では有茎鼻中隔粘膜弁を用いることで解消されつつある。
下垂体腺腫に対する被膜外摘出
下垂体腺腫の被膜とは正常下垂体と腫瘍の間の正常下垂体由来のfibrous tissueを指し,真の被膜でないことから仮性被膜と呼ばれ,わが国でも既に1970年代に報告がある(文献1)。近年,仮性被膜内に時に腺腫細胞が混在していることが判明し,特に機能性腺腫に対する仮性被膜外摘出が治癒率向上に貢献することが知られている(文献2)。今後,先端巨大症の手術での治癒基準について,ブドウ糖負荷後のGH値が1.0ng/mL未満から0.4ng/mL未満へとより厳格になる予定であり,被膜外摘出の役割がさらに重要になっていくであろう。

【文献】


1) Teramoto A, et al:Neurol Med Chir (Tokyo). 1979;19(9):895-902.
2) Kawamata T, et al:Neurosurg Rev. 2005;28(3):201-8.

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