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中條─西村症候群(Nakajo-Nishimura syndrome) 【遺伝性自己炎症疾患のひとつで,中等症以上は難病指定に】

No.4813 (2016年07月23日発行) P.52

金澤伸雄 (和歌山県立医科大学皮膚科准教授)

古川福実 (和歌山県立医科大学皮膚科教授)

登録日: 2016-07-23

最終更新日: 2016-10-29

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中條─西村症候群(Nakajo-Nishimura syndrome)とは,慢性反復性の炎症と進行性のやせ・消耗を特徴とする常染色体劣性遺伝性疾患であり,近年話題の自己炎症疾患のひとつである(文献1)。幼小児期に凍瘡様皮疹にて発症し,結節性紅斑様皮疹や周期性発熱を繰り返しながら,しだいに顔面と上肢を主体とする脂肪筋肉萎縮が進行し,長く節くれ立った指を呈する。1939年に中條,50年に西村らが最初の報告を行い,長くわが国特有と考えられたが(文献2),2010年に海外から報告されたJMP(関節拘縮・小球性貧血・脂肪織炎関連脂肪萎縮症)症候群,CANDLE(脂肪萎縮と発熱を伴う慢性非定型好中球性皮膚症)症候群も同一遺伝子の異なる変異による疾患であることが判明した。3疾患ともOMIM#256040に登録されている。
責任遺伝子であるPSMB8は,細胞内で選択的蛋白質分解を担うプロテアソーム複合体を構成する誘導型β5iサブユニットをコードすることから,その変異によって細胞内蛋白質分解が障害されることが発症の原因と考えられるが,詳細な病態は不明である。ステロイド内服が発熱,皮疹などの炎症の軽減に有効であるが,萎縮には無効である。診断基準に従い,臨床的特徴に肝脾腫,大脳基底核石灰化を加えた8項目のうち5項目以上陽性で臨床的診断(probable),PSMB8変異の同定で確定診断(definite)となる。重症度分類の中等症以上が,2015年7月に難病に指定された。

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