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低用量アスピリン内服者における,全消化管傷害予防策として妥当なストラテジー【プロスタグランジン製剤が全消化管に対する予防に有効。上部粘膜傷害にはPPIも有効】

No.4829 (2016年11月12日発行) P.54

飯島克則 (秋田大学大学院医学系研究科消化管内科学講座教授)

塩谷昭子 (川崎医科大学消化管内科学教授)

登録日: 2016-11-09

最終更新日: 2016-11-08

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  • 近年,低用量アスピリン(low dose aspirin:LDA)の使用頻度が増え,それに伴う薬剤性の消化管傷害が問題となっております。その予防として,上部消化管傷害に対しては,プロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor:PPI)の有効性が示され,対応策が確立しつつあります。しかし,薬剤性の小腸,大腸傷害の増加が指摘され,有効な対応策が確立しておらず,さらにPPIが薬剤性の下部消化管傷害をかえって増悪させる可能性も指摘されています。そこで,全消化管でトータルとして考えてみた場合,LDA内服者の消化管傷害予防策として現時点で最も妥当なストラテジーはどのようなものでしょうか。川崎医科大学・塩谷昭子先生に解説をお願いします。

    【質問者】

    飯島克則 秋田大学大学院医学系研究科 消化管内科学講座教授


    【回答】

    LDA起因性消化性潰瘍・出血に対しては,LDA中止により血栓症のリスクが高まるために中止が困難なことが多く,出血例に対しても,可能な限りアスピリンを継続あるいは早急に再開することが望ましいと考えられています。『消化性潰瘍診療ガイドライン2015 改訂第2版』では,LDAによる消化性潰瘍発生の一次予防に酸分泌抑制薬が推奨され,上部消化管出血の再発抑制には,除菌単独療法に比べ,除菌に加えてPPIの投与が推奨されています。さらにLDAにNSAIDs併用投与が必要な消化管傷害リスクが高い患者に対しては,COX-2選択的阻害薬とPPIの併用が推奨されています。即効性で強力な酸分泌抑制効果を有するカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(potassium-competitive acid blocker:P-CAB)ボノプラザンとともにPPIは,LDAおよびNSAIDs潰瘍再発予防に対して,保険適用となっています。

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