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円錐角膜の治療法 【軽度・安定例では,新治療法による矯正などが可能。進行すると角膜移植が必要】

No.4833 (2016年12月10日発行) P.58

小泉範子 (同志社大学生命医科学部医工学科教授)

稗田 牧 (京都府立医科大学眼科講師)

登録日: 2016-12-08

最終更新日: 2016-12-01

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  • 有水晶体眼内レンズ,角膜内リング,クロスリンキングなど,円錐角膜に対する新しい治療法が次々と開発されています。どのような症例に適応があるのか,病期に応じた治療法選択のポイントなどを教えて下さい。京都府立医科大学・稗田 牧先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    小泉範子 同志社大学生命医科学部医工学科教授


    【回答】

    円錐角膜やペルーシド角膜変性など,非炎症性に角膜が薄くなり歪みが強くなる病気の治療には,従来はハードコンタクトレンズか全層角膜移植しかありませんでした。有水晶体眼内レンズ,角膜内リング,クロスリンキングなどは,その間を埋める新しい治療です。

    有水晶体眼内レンズ挿入術は,水晶体がある眼にもう1枚人工レンズを入れることで,強い近視や乱視を矯正します。わが国では厚生労働省の認可を受けていますが,「屈折矯正手術のガイドライン」では「ある程度進行した円錐角膜」は適応外となっています。進行が止まっている初期の円錐角膜が対象になります。

    角膜実質内リングは円錐角膜の形状改善方法として,米国食品医薬品局(food and drug administration:FDA)の認可を受けた治療です。角膜実質内にポリメタクリル酸メチル樹脂(polymethyl methacrylate:PMMA)製のリングを埋め込み,角膜の強度を上げることで歪みを減らすだけでなく,変形の進行もある程度抑制できます。眼鏡で十分に視力が上がらない進行した円錐角膜で,ハードコンタクトレンズを装用しにくい場合にリングを挿入します。ただし,近視や乱視を補正できる割合はあまり大きくないので,リングを入れた後もコンタクトレンズを装用しなければならないことが少なくありません。眼鏡で視力が上がるようになれば,さらに有水晶体眼内レンズ挿入術を行い,裸眼視力を改善させることも可能です。

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