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左鎖骨下動脈近位部に狭窄を有する冠動脈バイパス術予定症例の治療戦略 【LSAにステントを用いた血管内治療後,二期的手術としてLITA使用のCABGを施す】

No.4834 (2016年12月17日発行) P.59

齋藤 綾 (東邦大学医療センター佐倉病院外科学心臓血管外科分野准教授/臨床工学部部長)

紙谷寛之 (旭川医科大学外科学講座心臓大血管外科学分野教授)

登録日: 2016-12-15

最終更新日: 2016-12-08

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  • 左鎖骨下動脈で内胸動脈分岐より近位部に狭窄または閉塞病変を有する場合,内胸動脈を用いた左冠動脈バイパス術後に鎖骨下動脈へのsteal現象が生じて心筋虚血をきたす冠動脈─鎖骨下動脈盗血症候群の報告が散見されます。鎖骨下動脈病変の原因のほとんどが動脈硬化と言われ,その多くは高度石灰化を有した進行性病変であることが予想されます。左鎖骨下動脈と冠動脈病変(外科的血行再建適応)の双方が同時に指摘された場合の治療介入の順序やタイミングに関する治療方針,特に鎖骨下動脈狭窄が中等度の場合の戦略について,旭川医科大学・紙谷寛之先生にご教示頂きたく存じます。

    【質問者】

    齋藤 綾 東邦大学医療センター佐倉病院外科学心臓血管外科分野准教授/臨床工学部部長


    【回答】

    冠動脈バイパス術(coronary artery bypass grafting:CABG)においては左鎖骨下動脈(LSA)から分岐する左内胸動脈(LITA)を心臓の前面を走行する左冠動脈前下行枝(LAD)に吻合する,いわゆるLITA-LADバイパスがゴールドスタンダードとして広く用いられており,その場合,冠動脈のそのほかの血管には大伏在静脈,橈骨動脈や右胃大網動脈が用いられます。内胸動脈は他のグラフト材に比べ長期開存性において優れていることから,3本ある冠動脈の中でも最も重要であるLADに好んで吻合されます。

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