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正常圧水頭症の治療とその予後は? 【アルツハイマー型認知症等の合併には注意】

No.4835 (2016年12月24日発行) P.58

角田 朗 (越谷市立病院脳神経外科部長/副診療部長)

登録日: 2016-12-20

最終更新日: 2021-01-06

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  • 正常圧水頭症の(1)病態生理,(2)治療方法,(3)予後をわかりやすくご指導下さい。

    (質問者:千葉県 M)


    【回答】

    (1)病態生理
    正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus:NPH) は,脳脊髄液の循環吸収障害によって引き起こされる脳室拡大のために,歩行障害を主体とする認知障害や尿失禁などがみられる,1965年,Hakimらにより提唱された病態です1)。水頭症は髄液圧(頭蓋内圧)が亢進しているのが普通ですが,この病態は正常範囲内の髄液圧であるため,この名称で呼ばれています。

    このうち,くも膜下出血後などの原因の明らかなものは二次性正常圧水頭症(secondary normal pressure hydrocephalus:sNPH),はっきりした原因が不明なものが特発性正常圧水頭症(idiopathic normal pressure hydrocephalus:iNPH) と呼ばれ,後者は高齢者に多くみられます。通常は,NPHというとiNPHを指すことが多いので,以下iNPHについて解説します。

    (2)治療方法
    まずは,しっかりした診断が必要になります。直近のガイドライン2)では,上記症状(歩行障害・認知障害・尿失禁)に加え,画像診断で,くも膜下腔の不均衡な拡大を伴う水頭症(disproportionately enlarged subarachnoid-space hydrocephalus:DESH)と呼ばれる典型的な所見があればiNPHと診断されることになっています(図1)。しかし,中には典型的画像所見を示さないものもあります。

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