超高齢社会に突入したわが国の死因の第3位は肺炎であるが,その約96%を65歳以上の高齢者が占めている。高齢者肺炎の多くは誤嚥性肺炎であるが,その診断・治療および予防に関しては,倫理的側面,すなわち人生の終末期における医療の是非を含めて,いまだ十分な議論がなされていない。つまり,高齢者肺炎は感染症としてとらえるだけでなく寿命としての側面もあるため,包括的な診療マネジメントが重要になる。本特集では,わが国の高齢者肺炎の現状や問題点を浮き彫りにし,今後進むべき診療マネジメントの方向性を探る。。
1 高齢者肺炎の基本的知識 ─現状から発症メカニズムまで
筑波大学附属病院ひたちなか社会連携教育研究センター呼吸器内科教授 寺本信嗣
日立製作所ひたちなか総合病院呼吸器内科 吉田和史。
2 高齢者肺炎の診断と治療法 ─誤嚥性肺炎を含めて
大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院呼吸器内科主任部長 石田 直。
3 高齢者肺炎の予防とケア
大分大学医学部呼吸器感染症内科学講座/天心堂へつぎ病院呼吸器内科臨床研究室 小宮幸作
大分大学医学部呼吸器感染症内科学講座教授 門田淳一