ガイドラインの根底をなすものは適正な臨床研究や疫学研究の結果でなければならない。したがってガイドライン策定者には,信頼性の高い臨床研究を選択し,それを正しく評価し解釈する能力が求められる。特に,臨床研究の多くは企業によって支援されており,論文そのものにおける,いわゆる“spin”と呼ばれるバイアスへの注意が必要である。また,最近では臨床研究の不正も相次いで明らかになっており,その真贋を見抜く力も要求される。それには,臨床研究論文を批判的に吟味する能力と豊富な高血圧診療の経験が不可欠である。本特集では,臨床研究の適切な選択と評価という観点から高血圧治療ガイドライン2014について検証を試みる。
1 降圧目標値と降圧薬選択の改訂ポイントの妥当性
臨床研究適正評価教育機構<J-CLEAR>理事長 桑島 巖
2 血管保護からみた改訂ポイントとその妥当性
東京医科大学循環器内科教授 冨山博史
3 心保護からみた改訂ポイントの意義と考察
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科循環器内科学 河合勇介
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科循環器内科学教授 伊藤 浩
4 腎保護からみた改訂ポイントの意義と妥当性
富山逓信病院院長 高田正信
富山労災病院腎・高血圧科部長 絹野裕之