医療者によるデータベース研究を推進し、医療が直面する課題の解決を目指す「日本臨床疫学会」(福原俊一代表理事)が発足した。昨年12月18日に都内で開かれた発足記念講演会は立ち見の参加者も出る盛況ぶりで、活発な意見交換が行われた。その概要を紹介する。
代表理事の福原氏(京大)は、臨床疫学会を今立ち上げた理由や学会の役割について講演。超高齢社会を迎え総合診療医のニーズが高まる中、これまでは現場の疑問を科学的に評価する方法論を地域の総合診療医が学ぶ機会が十分なかったとして、「治療と予防の両方を行う『新しい医療』には新しい学術基盤が必要になる。それが臨床疫学だ」と強調した。
基礎研究の知見を臨床に当てはめるトランスレーショナルリサーチモデルには限界もあると指摘。近年、医療者がビッグデータにアクセス可能な時代となり、「臨床疫学の適時がきた」と期待を示した。
学会はデータベース研究の標準的な方法論や倫理的基準を示すとともに、臨床疫学の専門家制度を設け人材育成にも力を入れる方針だ。
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