株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

隣接臓器への浸潤を伴う結腸癌に対する腹腔鏡下手術【症例や術者の経験によっては安全で腫瘍学的にも妥当な選択肢に】

No.4841 (2017年02月04日発行) P.56

高橋 亮 (京都大学消化管外科)

坂井義治 (京都大学消化管外科教授)

登録日: 2017-02-01

最終更新日: 2017-01-31

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

大腸癌に対する腹腔鏡下手術(lap)は,一部施設では局所進行症例に対しても行われている。結腸癌におけるlapはBarcelona,COST,COLOR,MRC-CLASICCの4つの無作為化比較試験において,開腹手術(open)より手術時間は長いものの出血量は少なく,長期予後に有意差がないことが示された。しかし,隣接臓器直接浸潤を伴うT4b結腸癌は上記試験の除外基準とされているため,十分なエビデンスがない。

T4b症例におけるlapは,視野展開や手術操作が制限され,浸潤部と正常組織との境界が確認できなかったり,合併切除後再建が技術的に困難な場合がある。また,術中開腹移行症例では合併症発生率が高く,腫瘍学的予後も劣る可能性が指摘されている。一方,その最大の武器である局所拡大視効果は,より精緻な切離ラインの認識を可能にするため,症例や術者の経験によってはむしろメリットが大きい場面も考えられる1)。近年,比較的小規模ながら諸施設からT4b結腸癌に対するlapの成績が報告され,その安全性と腫瘍学的妥当性が実証されてきている。当科で行った後向き解析でも,lapは尿路系浸潤症例を除いて完遂率や短期成績は良好で,開腹移行症例も含めて長期予後に有意差を認めなかった2)

lapのメリットと限界を知り,安全にR0手術を行うために,症例ごとに術前評価と術中判断を冷静に行っていくことが重要と考えられる。

【文献】

1) 高橋 亮, 他:外科. 2016;78(3):248-55.

2) Takahashi R, et al:Asian J Endosc Surg. 2016. in press.

【解説】

高橋 亮, 坂井義治 京都大学消化管外科 教授

関連記事・論文

関連書籍

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top