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腎後性腎不全の診断と治療後経過の予測 【血清シスタチンCは腎後性腎不全の治療後経過の予測に有用】

No.4843 (2017年02月18日発行) P.55

田中俊明 (札幌医科大学泌尿器科講師)

舛森直哉 (札幌医科大学泌尿器科教授)

登録日: 2017-02-15

最終更新日: 2017-02-14

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腎後性腎不全の診断においては画像検査により水腎症を確認することが必須であるが,水腎症が軽度である場合など,診断に苦慮することがある。診断を確定できない症例においても,診断的治療として経皮的腎瘻造設術などの侵襲の大きい閉塞解除術を行わざるをえない症例を経験する。

腎後性腎不全では血清クレアチニンの上昇を認めるが,新規腎機能マーカーである血清シスタチンCは正常または軽度の上昇にとどまることが指摘されている1)。筆者らは,閉塞解除術前の血清クレアチニン値(mg/dL)と血清シスタチンC値(mg/L)の差が,術前後の血清クレアチニン値の差ときわめて強い相関を持つことを見出し,さらに術前のこれらの数値を用いて,術後の血清クレアチニン値を予測できることを示した(下記の予測式)2)。この予測式の妥当性については,大規模な研究によって検証する必要があるが,実地臨床においては腎後性腎不全の診断,治療方針の決定,治療経過の評価の一助になることが期待される。

<腎後性腎不全における閉塞解除術後の血清クレアチニン値予測式>

予測術後血清クレアチニン(mg/dL)=0.2064×術前血清クレアチニン(mg/dL)+0.7936×術前血清シスタチンC(mg/L)-1.2156

【文献】

1) 奥田優子, 他:臨病理. 2008;56(2):101-7.

2) Matsuki M, et al:Clin Exp Nephrol. 2016. [in press]

【解説】

1)田中俊明,2)舛森直哉 札幌医科大学泌尿器科 1)講師 2)教授

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