日本医療機能評価機構は2月15日、「医療安全情報No.123」を公開し、永久気管孔を塞ぐ事例について注意喚起した。患者が永久気管孔の造設後であることを知らず、看護師が入浴やシャワー浴の介助を行う際に頸部の孔にフィルムドレッシング材を貼付し、患者の呼吸状態に影響があった事例が2013〜16年に2件報告された。
永久気管孔(図1)とは、咽頭癌など喉頭を全摘出する手術などにより、呼吸のために気管を頸部の皮膚に縫合して造られた孔のこと。気道と食道が完全に分離するため、口や鼻で呼吸できず、一度造設すると閉鎖することは想定されていない。
永久気管孔と同じように頸部に孔を開けて患者の気道を確保する方法に気管切開(図2)があるが、気管切開の場合は、気管は喉頭から咽頭へつながっているため、永久気管孔の造設とは気道の構造が大きく異なり、通常、気管切開チューブが挿入されている。患者は口や鼻での呼吸が可能だ。
安全情報では、事例が発生した医療機関において、電子カルテやカンファレンスを活用して患者が永久気管孔の造設後であることを情報共有するなどの対策を取ったことを紹介している。