【質問者】
船曵知弘 済生会横浜市東部病院救命救急センター 副部長
JATECコースの教えの柱は,「早期に適切な止血術さえ行えば救うことができる命を,いかにして守るか」ということです。JATECでは,超音波検査(focused assessment with sonography for trauma:FAST),胸部・骨盤X線検査,身体所見という限られた情報をもとに止血術の適応を判断するよう求めています。ここにCT検査が入っていない理由は,CT検査を行う20分が患者の生死をわける可能性があるからです。
しかし,外傷初期診療に従事する医師にとっては過酷な状況です。FASTで腹腔内出血を認めるショックの症例に対して,出血部位も損傷形態もわからないまま開腹手術を行うわけです。多部位に止血術を要する損傷があれば,「胸が先か,腹が先か」「手術か,IVRか」というさらに難しい判断を迫られることになります。
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