肺癌患者数は近年急増しており,わが国では全がん死の約20%を占め,男性では全がん死の中で最も多い。わが国における各種がんの全5年生存率で見ると,乳癌・胃癌・大腸癌はすべて60%を超えているのに対して,肺癌は30%にも及ばず,今後も人口の高齢化とともにさらに増えていくものと思われる。
原因のひとつとして,診断が困難であることが挙げられる。胸部異常陰影に対しての確定診断を得る効果的な方法は気管支鏡検査であるが,早期診断のために様々な方法が試みられはじめている。
気管支の末梢小型病変に対してはradial型気管支腔内超音波(endobronchial ultrasound:EB US),細径気管支鏡,ナビゲーションを併用することにより診断率が向上する1)とされ,ground-glass opacity(GGO)に対してはradial型EBUSとguide sheath(GS)を併用するEBUS-GS法の有用性も示されている2)。また,欧米ではprobe先端に二酸化炭素を送気し肺組織を凍結して生検するcryo biopsyとradial型EBUS併用の有用性と安全性も示されている3)ため,わが国における同生検法の承認取得が待たれる。
【文献】
1) Ishida T, et al:Thorax. 2011;66(12):1072-7.
2) Izumo T, et al:Eur Respir J. 2015;45(6):1661-8.
3) Schuhmann M, et al:Eur Respir J. 2014;43(1): 233-9.
【解説】
有村 健 東京女子医科大学内科学第一講座