うっかりミスによる信用失墜や医療事故を防ぐため,私は研修医に「指さし呼称」と「チェックリスト」を勧めています。
私は麻酔科医ですので,麻酔の準備,機器の設定,薬剤の投与など,必ず指さし呼称で安全確認を行います。「心電図。よし!」「血圧。よし!」と声に出して(小声ですが…),人さし指でさします。また,麻酔中は5~10分間隔で,異常の有無を指さし呼称で確認しています。この方法で麻酔の安全性が上がったと思っています。
指さし呼称は目視だけでなく多くの感覚器官を使うため,意識を刺激し,集中力・注意力・記憶力を向上させるようです。もともと鉄道の機関士・運転士が考え出したそうですが,今では多くの病院で採用されています。ただ,看護師の中では広まっていますが,医師の中ではあまり広まっていないようです。指さし呼称がヒューマンエラーを6分の1に減らしたという研究報告もあります1)。ぜひ,医師にも指さし呼称を習慣にして頂きたいと思います。
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