まず器質的疾患を疑わせる警告徴候の有無をチェックする
大腸通過遅延型よりも便排出障害型で外科治療が必要となる場合が多い
骨盤底筋協調運動障害にはバイオフィードバック療法が有効である
排便困難が改善しない場合は直腸瘤や直腸重積などの器質性便排出障害を疑う
便秘治療の基本は生活習慣の改善や薬物療法といった内科的治療であるが,症例によっては外科的治療が必要となる。表1は世界消化器病学会(WGO)による便秘の警告徴候である1)。該当する項目があれば大腸内視鏡検査などの精査を実施することが推奨される。器質的病変の存在が確認されれば,器質性便秘として原因疾患に対する治療を行う。大腸癌やほかの閉塞性疾患,直腸肛門疾患などが手術の適応となる。
機能性便秘においても,内科的治療が奏効しない場合に十分な精査を行った上で外科的治療の適応を判断する。機能性便秘は一般に弛緩性便秘(slow transit constipation),直腸型便秘(evacuation disorder,outlet obstruction),便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)に分類される1)。最近,器質性以外の便秘を大腸通過遅延型(排便回数が週3回未満に減少)と便排出障害型(排便困難)の2つに大別する新分類が提唱されている(表2)2)。この分類は,便秘を原因や病態別にわけることで,個々の症例に適した治療法の選択が行えることを目的としている。たとえば,便排出障害の中でも直腸瘤や直腸重積は解剖学的な要因を持つため器質性便排出障害に分類されており,手術が適応となる場合が少なくない。
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