開放性根治的膀胱摘除術(open radical cystectomy:ORC)は,浸潤性膀胱癌に対する標準治療である。1800年代後半にORCの最初の報告がされた。1949年にはMarshallとWhitmoreから根治的膀胱前立腺摘除術の基本的な手術手技が報告されている。87年にはSchlegelとWalshから神経解剖学的に骨盤内臓器の詳細が報告され,神経温存根治的膀胱摘除術の術式が確立された1)。
さらにその後,低侵襲性手術が開発された。腹腔鏡下手術の進歩に伴い,根治的ではないが単純膀胱摘除術の1例目は92年に報告された2)。その後,翌年に腹腔鏡下根治的膀胱摘除術の1例目が報告されている3)。わが国では,腹腔鏡下根治的膀胱摘除術は,腹腔鏡下膀胱悪性腫瘍手術として2012年に保険収載された。
ロボット補助下根治的膀胱摘除術(robot-assisted radical cystectomy:RARC)は,03年にMenonらによって初めて報告された4)。その後,世界各国で広がりを示しているが,わが国ではいまだ保険収載されていない。
膀胱を摘出した場合,何らかの尿路変更術が必要となる。1852年にSimonらが腸管を利用した尿路変更術を最初に報告した。1900年代後半と2000年代初期には抗菌薬が存在しなかったことから,腸管利用尿路変更術は術後腹膜炎のリスクが高かった。Coffeyらが1911年に尿管S状結腸吻合術を報告してから,標準的な術式となった。回腸導管造設術は11年にZaayerらによって報告されたが,50年にBrickerによって標準的な術式が確立した。
同じ頃,FerrisとOedeから尿管S状結腸吻合術後の代謝性アシドーシスが80%の症例に認められることが報告され,回腸導管造設術が標準術式となった。尿禁制尿路変更術はTizzoniとFoggiによって88年に報告された。直腸を用いたリザーバーは1895年にMauclaireから報告された。禁制尿路変更術としてはKockの脱管腔化,Lapidesの自己導尿が一般的であった。しかしその後,HautmannとStuderから新膀胱造設術が報告され,現在でも多くの症例に用いられている。
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