わが国の65歳以上の便失禁の有病率は男性8.9%、女性6.6%、全国で約500万人の患者がいると推計される。しかし、家族にさえ言い出せず、人知れず悩む人も多く、これまで一般診療ではその診断・治療方法が浸透してこなかった。そうした背景から、日本大腸肛門病学会は、今年3月、便失禁診療の普及と標準化を目指して、日本初の『便失禁診療ガイドライン』を発刊した。
ガイドラインでは、便失禁に対する初期診療と専門的検査・保存療法のアルゴリズム(図)、外科治療のアルゴリズムを分けて冒頭で提示。便失禁の定義、有病率、病態と原因、発症リスク因子、臨床的初期評価法、検査法、保存的療法、外科治療、神経・脊髄疾患や認知症などによる特殊な病態の便失禁の評価・治療法まで、エビデンスに基づいたステートメントを示しつつ、非専門家にも分かりやすく解説している。
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