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高度右室拡大を呈しtetheringが強い三尖弁形成に対するプラスアルファの手技は?【TAPに加えた右室乳頭筋縫縮術(RV-PMA)を現在第一選択の術式としている】

No.4861 (2017年06月24日発行) P.56

椎谷紀彦 (浜松医科大学外科学第一講座教授)

松宮護郎 (千葉大学大学院医学研究院心臓血管外科学教授)

登録日: 2017-06-21

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  • 二次的三尖弁逆流への介入の重要性が再認識されていますが,高度右室拡大を呈しtetheringが強い三尖弁の形成は,人工弁輪のみでは困難な場合があります。しかし,どの指標がどのくらい悪化したらプラスアルファの手技が必要なのか,その場合の手技は何がよいのか,いまだ確立していないのではないでしょうか? この分野で,弁尖のaugmentation術式と弁下への手技の両者の経験を有する千葉大学・松宮護郎先生にご教示頂きたく存じます。

    【質問者】

    椎谷紀彦 浜松医科大学外科学第一講座教授


    【回答】

    機能性三尖弁閉鎖不全症(functionality tricuspid regurgitation:fTR)は弁輪拡大がその主原因とされ,三尖弁弁輪形成術(tricuspid annuloplasty:TAP)が標準治療とされてきました。しかし,高度の右室拡大とそれに伴う弁尖tetheringを合併するfTRではTAPのみでは逆流の制御が不十分で,術後もfTRが残存または再発する場合があることが知られています。特にうっ血性肝障害を合併するような重症例では確実な逆流制御と再発予防が重要と考えられ,新たな外科的手技が求められています。

    まずどのような症例でTAPのみでは不十分であるかに関しては,心エコーや3D-CTを用いた検討でfTR再発の危険因子として「7~8mmを超える三尖弁のtethering height」が挙げられています。さらにそういった症例の多くは右室拡張末期径45mmを超える右室拡大を示しており,これも有用な指標と考えています。

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