【質問者】
椎谷紀彦 浜松医科大学外科学第一講座教授
機能性三尖弁閉鎖不全症(functionality tricuspid regurgitation:fTR)は弁輪拡大がその主原因とされ,三尖弁弁輪形成術(tricuspid annuloplasty:TAP)が標準治療とされてきました。しかし,高度の右室拡大とそれに伴う弁尖tetheringを合併するfTRではTAPのみでは逆流の制御が不十分で,術後もfTRが残存または再発する場合があることが知られています。特にうっ血性肝障害を合併するような重症例では確実な逆流制御と再発予防が重要と考えられ,新たな外科的手技が求められています。
まずどのような症例でTAPのみでは不十分であるかに関しては,心エコーや3D-CTを用いた検討でfTR再発の危険因子として「7~8mmを超える三尖弁のtethering height」が挙げられています。さらにそういった症例の多くは右室拡張末期径45mmを超える右室拡大を示しており,これも有用な指標と考えています。
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