【質問者】
中山優子 神奈川県立がんセンター放射線治療科部長
特定のドライバー遺伝子異常を特異的に阻害する分子標的薬,さらには免疫チェックポイント阻害薬が次々と開発され,Ⅳ期非小細胞肺癌の治療成績は飛躍的に向上しました。これらの薬剤はコンパニオン診断の確立とともに診療ガイドラインでもⅣ期非小細胞肺癌の一次治療として推奨されるようになっています。ただし,これら薬剤に共通の有害事象として死亡に至るような重篤な間質性肺炎のリスクがあり,放射線治療との同時併用は慎重に検討されなければなりません1)。
一方,分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬を一次治療で用いた後に数個以下(特に孤立性)の病巣が残存あるいは再増大した場合に,局所治療として放射線治療を行うことの利益が報告されています2)。Ⅳ期の場合,初回治療時あるいは一次治療後に転位巣が少ない症例は,多くの場所で宿主が腫瘍を抑え込んでいると解釈できます。したがって,宿主が腫瘍に負けている病巣に対して局所治療を加えることは理にかなった考え方と言えます。
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