厚生労働省による戦略的アウトカム研究としてスタートした「慢性腎臓病重症化予防のための戦略研究(The Frontier of Renal Outcome Modifications in Japan:FROM-J)」は,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者の重症化を予防するには,腎臓専門医とかかりつけ医(非専門医),さらには栄養士などコメディカルの連携による診療システムが有用であることを示す研究で,その結果が公表されてきています。これまでの状況や現在までの結果に関して,まとめて知りたいと思います。
研究リーダーを務める筑波大学・山縣邦弘先生のご教示をお願いします。
【質問者】
上月正博 東北大学大学院医学系研究科内部障害学分野 教授
FROM-Jは,新たな透析療法を要する末期慢性腎不全患者の増加を抑制し,CKDの重症化を防止するための方策として,かかりつけ医/非腎臓専門医と腎臓専門医の連携,CKDの診療目標である血圧・血糖管理や生活および食生活習慣の改善を実現する診療システムの構築を目的として行われました。研究は地区医師会をクラスターとするクラスターランダム化で実施され,通常診療群として「CKD診療ガイド」に従って,かかりつけ医として診療するA群と,診療目標達成支援ITシステム・受診支援に加え,各地の栄養ケアステーションからかかりつけ医のもとに3カ月ごとに管理栄養士を派遣して生活食事指導を実施するB群に地区医師会をランダムに振りわけ3.5年間の介入が行われました。参加者は49地区医師会に所属する531人のかかりつけ医のもとで診療を受けるCKD患者2417人で,内訳は男性70%,平均年齢63歳で,疾患への罹患率は高血圧症90%,糖尿病60%,高尿酸血症40%,脂質異常症70%でした。
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