厚生労働省の「脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会」(永井良三座長)は6月29日、今後構築すべき脳卒中と心血管疾患の診療提供体制の方向性を盛り込んだ報告書案を大筋で取りまとめた。地域の医療機関が役割分担し、24時間対応が可能な体制を目指す。厚労省は近く都道府県に通知を発出し、来年度からの第7次医療計画への反映を促す。
報告書案では、脳卒中の急性期の診療について、各施設が患者の受け入れ可能な時間帯を明確にするなどして、施設間の診療ネットワークを構築する必要性を強調。平均的な救急搬送圏内で、血栓溶解(t-PA)療法、血管内治療、外科的治療が24時間提供できる体制の確保を求めている。医療資源が乏しい地域では、遠隔診療を用いた診断の補助などを活用するイメージも提示している。
また、回復期~維持期の診療については、いずれの経過を辿る場合であっても「多職種によるアプローチが重要」と指摘。急性期後の地域連携体制の例として、患者の身体機能の状態に応じた医療を提供し、スムーズな施設間の移行を可能としている熊本県の例を示している。
心血管疾患の急性期診療についても、平均的な救急搬送圏内で複数施設が連携し、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、内科的治療、外科的治療を24時間提供できる体制の確保を求めている。回復期~維持期の診療提供体制を検討するに当たっては、「再発予防・再入院予防の観点が重要」とし、今後患者数の増加が見込まれる慢性心不全については、地域のかかりつけ医等も含めた「幅広い施設での管理を検討する必要がある」としている。