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CASE03 運動後の急性腎不全/短距離走後の腰痛と急性腎不全を呈した18歳男性[CAUTION! 臨床検査値の落とし穴]

No.4692 (2014年03月29日発行) P.14

水野真一 (仙台社会保険病院腎臓疾患臨床研究センター)

田熊淑男 (仙台社会保険病院腎臓疾患臨床研究センター)

登録日: 2014-03-22

最終更新日: 2017-07-31

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  • 【症例紹介】

    18歳の男性。陸上部に所属。既往歴,家族歴に特記すべきことはない。これまで学校検診では特に異常の指摘はなかった。数日前から風邪ぎみであったが,夏の陸上大会に向け,炎天下の中,部活に参加した。ある程度は飲水していたが,短距離走の練習後,嘔気,ふらつき,腰背部痛を訴え,近医受診。採血でCr 1.5mg/dLが判明し,熱中症と脱水の診断で点滴され帰宅するも微熱が続き,症状も改善せず,2日後に再受診。採血でCr 8.8mg/dLと悪化が判明し,当院紹介となった。入院時の主要な検査データを表1に示す。


    検査値のどこに悩んだか

    本例は体調不良にもかかわらず,炎天下の中,練習を続けたことで熱中症となり,横紋筋融解症を発症し,ミオグロビン尿性急性腎不全に発展したのでは,と想定された。しかしCKは軽度高値であり,その程度の値でCr>8mg/dLとなるような急性腎不全になるとは考えにくい。また,運動後の筋肉痛だけでもその程度ならありうる。加えて,水分補給もしており,比較的尿量も保たれている。ミオグロビン尿性急性腎不全の場合,脱水のことが多く,それを反映してBUNやUAなどの異常高値がみられることがあるが……。ミオグロビン尿であれば,尿沈渣で赤血球は出ない。また使用していた筋肉は足や腹筋と思われるが,痛いのは腰背部……?

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