編著: | 山田俊幸(自治医科大学医学部臨床検査医学講座 教授) |
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編著: | 前川真人(浜松医科大学医学部臨床検査医学講座 教授) |
判型: | A5判 |
頁数: | 268頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2019年01月31日 |
ISBN: | 978-4-7849-5663-0 |
版数: | 第1版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
1章 がんと日常的検査
1 がんにおける臨床検査利用法
2 一般検査
3 血液学的検査
4 生化学・免疫検査
5 がん関連ウイルス検査
2章 がんのスクリーニング検査
1 便潜血(便ヘモグロビン検査)
2 ペプシノゲンとピロリ菌検査によるピロリ菌胃炎の診断と胃がんリスク層別化検査,除菌判定
3 泌尿生殖器系(子宮腟細胞診)HPV含む
4 呼吸器ほか穿刺液(喀痰細胞診)
3章 腫瘍マーカー
1 AFP,AFP-L3
2 PIVKA-Ⅱ
3 CEA
4 CA19-9,DUPAN-2
5 前立腺特異抗原(PSA)
6 SCC
7 CYFRA
8 ProGRP
9 NSE(神経特異エノラーゼ)
10 CA125と類似マーカー
11 CA15-3
12 抗p53抗体
13 可溶性インターロイキン2受容体
14 1CTPほか骨腫瘍マーカー
4章 各腫瘍での臨床検査の使い方
1 肝癌(AFP,AFP-L3分画,PIVKA-Ⅱ)
2 消化管癌
3 膵癌
4 肺癌
5 前立腺癌(PSAなど)
6 乳癌
7 女性生殖器腫瘍
8 泌尿器・男性生殖器腫瘍(前立腺を除く)
9 内分泌腫瘍
5章 がんと遺伝子検査
1 遺伝子関連検査総論
2 コンパニオン診断
3 がん遺伝子パネル検査
付録1 これからのがん検査
付録2 腫瘍マーカー一覧
がん(悪性腫瘍)は,他の疾患と同じように,問診,理学所見,画像所見,臨床検査所見を総合して疑われ,病理検査で確定される。固形がんでは画像診断が主役となり,血液や尿を試料とする臨床検査の比重は高いものではない。ただし患者負担が軽いため,施行される頻度は高く,医療関係者はしばしばその解釈に追われる。本書は,がん専門医以外の一般臨床医に,臨床検査のうち,いわゆる腫瘍マーカーを中心に,適切に利用・評価してもらうことを目的としたポケット版解説書である。
腫瘍マーカーとは,広義には,血液や尿で測定され,その成績ががんの診断に有用となる検査のことである。これをさらに分類すると以下のようになる。
①がん細胞特異的に(必ずしも,がん細胞のみではないが)産生される物質(AFP,CEAなど。狭義にはこれらを腫瘍マーカーと呼ぶ)
②正常細胞,がん細胞問わず産生されるが,がん細胞の容積効果,産生亢進効果により血中濃度が高くなるもの〔乳酸脱水素酵素(LD)など〕
③がん細胞に対する生体の反応(p53抗体など)
本書では,これらを取り上げ,さらに,がん細胞の遺伝子マーカーも含めた。
本書の特徴は,①臨床検査からの方向性と,②臓器別臨床からの方向性とを別々に解説した点にある。腫瘍マーカーの検査には試薬間差や偽陽性など,検査技術的に未解決な問題が少なくないため,その認識を深めることが前者の目的である。後者では,腫瘍マーカーが適切に使用されること,特に過大な期待で使用されることがないように,ご執筆頂いた先生方には専門医の視点で腫瘍マーカーの使い方を解説して頂いた。
なお,本書では原則,保険診療の対象となっている検査項目を取り上げ,将来期待される先進的項目は付録として取り上げた。
本書が,医師,医学生のみならず,臨床検査技師,薬剤師など,他のメディカルスタッフ,がんに関わるすべての医療関係者にとって有益な解説書のひとつになれば幸いである。
2018年12月
自治医科大学医学部 臨床検査医学講座 教授 山田俊幸
浜松医科大学医学部 臨床検査医学講座 教授 前川真人