編著者: | 村上 司(野口病院 院長) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 152頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2020年12月18日 |
ISBN: | 978-4-7849-7296-8 |
版数: | 第1版 |
付録: | - |
第Ⅰ章 甲状腺・副甲状腺の超音波検査を始める前に
1 超音波検査の目的・超音波検査で得られる情報
2 超音波検査とアーチファクト
3 超音波検査で使用する装置・超音波検査室のレイアウトと備品
4 スクリーニング法
5 静止画の撮り方
第Ⅱ章 頸部の解剖と正常超音波像
1 成人の頸部の解剖と正常超音波像
2 小児の甲状腺
第Ⅲ章 超音波検査で評価すべき所見
1 甲状腺
2 甲状腺結節
Column(1) 甲状腺結節の穿刺吸引細胞診
3 副甲状腺
4 リンパ節(良性/悪性の特徴)
5 ドプラ法・カラーマッピング,FFT解析の応用
6 エラストグラフィ
7 報告書の書き方
第Ⅳ章 超音波診断
各論 (1)甲状腺疾患
1 バセドウ病
2 慢性甲状腺炎(橋本病)
3 無痛性甲状腺炎
4 亜急性甲状腺炎
5 急性化膿性甲状腺炎
6 腺腫様甲状腺腫
Column(2) 手術しない良性結節の経過観察
7 囊胞
8 自律性機能性甲状腺結節
9 濾胞腺腫と濾胞癌
10 乳頭癌とそのリンパ節転移
Column(3) 諸外国の超音波診断ガイドライン
Column(4) 超低リスク微小乳頭癌のアクティブサーベイランス
11 髄様癌とそのリンパ節転移
12 低分化癌
13 未分化癌
14 甲状腺原発悪性リンパ腫
15 転移性甲状腺癌
各論 (2)副甲状腺疾患
1 副甲状腺腺腫
2 副甲状腺過形成
3 副甲状腺癌
4 副甲状腺囊胞
各論 (3)その他の頸部腫瘍
1 頸部リンパ節疾患
(1)悪性リンパ腫/(2)甲状腺以外からのリンパ節転移/(3)反応性(炎症性)リンパ節腫大
2 頸部に発生するその他の疾患
(1)正中頸囊胞/(2)神経鞘腫/(3)脂肪腫/(4)食道憩室
野口病院の古い記録をみると,1967年にはすでに甲状腺の超音波検査が行われていたようである。1980年代には5MHzのプローブを用いて,水浸法で超音波検査をしていた。当時は触診で発見されて手術目的で入院した症例を対象に超音波検査を行っていた。時が過ぎ,超音波診断装置の性能が良くなり,甲状腺結節の診断において超音波検査が不可欠のものになると, 検査件数が増え検査を担当する医師, 技師の数も増えた。診断装置を増設して,検査件数はますます増えた。
野口病院超音波検査室の今までの経験をもとに,甲状腺,副甲状腺を中心とした頸部超音波検査のエッセンスをまとめたものが本書である。私たちの経験から得られたことに重点を置き,文献や種々のガイドラインの記載を参照して作成したものである。
近年は頸部超音波検査に習熟した技師が増えたこともあり,医師は自らプローブを持つことなく,保存された画像にもとづいて診断を下すことが増えたようである。しかし,本来超音波検査の最大の長所は,リアルタイムに任意の断層で観察し,頭の中で立体的なイメージを組み立てて診断できることである。静止画像だけを眺めるより,自分で検査するほうがより正確に判断できることは当然である。自分で検査をするとどのような画像を記録すべきかがわかるようにもなるし,さらに静止画像による診断のピットフォールにも気づくようになる。
このような理由で,本書の執筆は多数例の超音波検査を自分で行っている(または行ったことがある)者が担当した。しかし,本書の内容はチームで診療にあたっている野口病院のスタッフ全員による成果でもあるので,野口病院のスタッフ全員に感謝の意を表したい。
本書を片手に,自分でプローブを手にして甲状腺の超音波検査に取り組む方がひとりでも増えることを願っている。
2020年11月
野口病院 院長 村上 司
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。
Ⅳ章-1-1:バセドウ病
Ⅳ章-1-3:無痛性甲状腺炎
Ⅳ章-1-14:甲状腺原発リンパ腫