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CASE19 腎機能障害と低蛋白血症/胸椎腫瘍を認めた70代前半の血液透析中の女性[CAUTION!臨床検査の落とし穴]

No.4692 (2014年03月29日発行) P.70

中村文彦 (天理よろづ相談所病院臨床検査部部長)

登録日: 2014-03-22

最終更新日: 2017-07-31

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  • 【症例紹介】

    70代前半の女性。主婦。家族歴に特記すべきことはない。6年前に皮膚筋炎を発症しステロイド治療で軽快した。当時の精査では悪性腫瘍は認められなかった。2年前,当院整形外科において腰部脊柱管狭窄症に対する開窓術を施行したところ,手術2週間後に腎機能障害が出現したため血液透析が導入された。術前術後に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を頻繁に使用したことが原因と考えられた。他院で血液透析を続行し通常の生活を送っていた。今回2カ月前より両下肢の脱力が出現し,徐々に悪化したため当院整形外科を受診した。CTで胸椎に腫瘍の存在が認められたため,精査目的で当院総合内科に入院した。両下肢麻痺がみられ,MRIでは第11,12胸椎の腫瘍が脊髄を圧迫している所見が認められる。血液検査(表1)では貧血,低蛋白血症,グロブリンの低下が認められる。


    検査値のどこに悩んだか

    胸椎腫瘍が存在し,すでに腎不全を発症している。多発性骨髄腫を疑うが,高蛋白血症や高カルシウム血症はみられない。むしろ低蛋白血症であり,特にグロブリン値は低値である。蛋白分画および血清免疫電気泳動,尿免疫電気泳動を提出し,血液疾患以外の悪性腫瘍の除外のためCEA,CA19-9などの腫瘍マーカー検査も行った。

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