【質問者】
山本久史 虎の門病院血液内科
ABLチロシンキナーゼを阻害するTKIによって,CMLの予後は劇的に改善しました。さらにSTIM試験やDADI試験などの臨床試験で,深い分子遺伝学的寛解(deep molecular response:DMR)を1~2年以上維持できた患者の約半数は,TKIを中止しても治療不要寛解(treatment-free remission:TFR)を持続できることもわかってきました1)。CMLは生命に関わる難病であり,妊娠・出産より治療を優先してもらっています。特に妊娠初期(器官形成期)は催奇性が高く,TKIは絶対に曝露のないように避けています。
しかしCML患者における妊娠・出産に関する考え方も少しずつ変化してきました。European Leukemia Netでも「妊娠希望の女性では,2年以上のDMRが維持できていれば,インフォームドコンセントを取得した上で,TKI中止を考慮してもよい」と推奨されるようになりました2)。
CMLは,一般的には慢性期が数年続きます。そのため,診断のあと妊娠に至れば,出産までは無治療あるいは催奇性がないと言われるインターフェロン-α(IFN-α)で治療を行うことも不可能ではありません。しかし,より早期のTKIでの治療がより良い予後をもたらすため,勧められる方法ではありません。
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