【質問者】
金子教宏 亀田総合病院呼吸器内科部長/ 亀田京橋クリニック副院長
コントロール達成後のステップダウン方法については,いまだ明確な指針がないのが現状だと思います。わが国の「喘息予防・管理ガイドライン2015」では,「喘息コントロール良好な状態が3~6カ月間持続したら,治療のステップダウンを試みる」との記載にとどまっています。特にご質問の患者のように,低用量吸入ステロイド(inhaled corticosteroids:ICS)単剤でコントロールされている状況でICSの中止は可能か,と判断に迷うケースは臨床的によく遭遇し,重要な問題と言えますが,意見はわかれます。
この患者の治療内容を各ガイドラインが定める治療のステップに当てはめると,わが国のガイドラインでは,一番基本的なステップ1となります。これは気道リモデリング抑制の観点からICSの早期導入,長期継続を勧めているからです。
一方,世界的に最も使用されている国際ガイドライン「Global Initiative for Asthma(GINA)2017」では,低用量ICSは治療ステップ2に当たります。ステップ1は短時間作用性β2刺激薬の頓用のみとなっており,低用量ICSからのステップダウンの余地を残しています。GINAでは,治療ステップごとのステップダウン方法について,より詳細な記載がされています。ここでは治療ステップ2の記載について述べます。
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