No.4868 (2017年08月12日発行) P.52
中原康雄 (帝京大学リハビリテーション医学准教授 )
芳賀信彦 (東京大学リハビリテーション医学教授)
登録日: 2017-08-10
最終更新日: 2017-08-07
リハビリテーションのためのロボット開発が世界各地で進められている。上肢訓練用ロボットは,脳卒中片麻痺患者を対象として,1990年代から開発が始まった。
アームロッドに上肢を固定してディスプレイ内のVR(virtual reality)空間を見ながら他動的もしくはアシストにて,2次元あるいは3次元的に目標まで物を動かすシステムや,健側上肢の動きを鏡像に変換して患側を動かすシステムがある。上下に伸縮するロッドをどのように動かすか,という3次元空間における動作訓練を行う「ReoGoTM」,ディスプレイを見ながら肩肘の訓練を行う「MIT-Manus®」などがある。
下肢訓練に関しては,歩行時の下肢振り出しの効率化や正しい歩行パターンの獲得を目的としてロボット技術の導入が図られ,体幹を懸垂して部分荷重トレッドミル歩行を行う設置型のLokomat®,Gait Trainer®や,体に装着し,通常の床面の上を歩行する装着型のロボットスーツHAL®,股関節の動きを補助する歩行アシストSAS®などがある。
ロボットによる訓練効果のエビデンスも徐々に蓄積されており1),医療用ロボットスーツHAL®に関しては,2016年より神経筋難病疾患に対する保険適用が認可された。ロボットのさらなる臨床応用が望まれるが,同時に訓練の中でいかに活用していくかという点も,今後は重要な課題になると思われる。
【文献】
1) Kubota S, et al:Arch Phys Med Rehabil. 2013; 94(6):1080-7.
【解説】
中原康雄*1,芳賀信彦*2 *1帝京大学リハビリテーション医学准教授 *2東京大学リハビリテーション医学教授