医師、助産師などで構成する日本産婦人科協会は21日、無痛分娩に関する安全管理対策について加藤勝信厚労相に要望書を提出した。局所麻酔薬の少量分割投与や副作用リスクの少ない薬剤選択の検討を求めている。
無痛分娩を巡っては今年4月以降、事故報道が相次いでおり、厚生労働省は安全管理体制を検討する研究班を設置し、23日に初会合を予定している。
要望書では分娩施設の減少が止まらない現状で分娩施設集約化など非現実的な対策が採用されると、産科医療体制の崩壊が決定的になると警鐘を鳴らした。
その上で、より直接的・効果的な医療安全管理対策として、日本麻酔科学会が6月に公表した「局所麻酔薬中毒への対応プラクティカルガイド」に基づいた対策を提示。3~5mLを分割して投与し、投与ごとにしばらく時間を置いて観察する少量分割投与や、一般的に使用されているブピバカインよりも中毒症状が出にくいとされているロピバカインの使用を提案した。
会見で池下久弥事務局長は、日本の年間出生数約100万人中、約47万人は診療所が取り扱っており、そのうち約70%が1人医師とのデータを示し、施設集約化などの人員体制の議論が報道で先行することに懸念を表明。「これほど濃密に報道されると、1人医師産科診療所が『ノー』と言われているようで、皆が『明日は我が身』と怯えている」と話し、今回の無痛分娩問題をきっかけに閉鎖する施設が出ないよう、現実的な対応を国に求めた。