【質問者】
上村直人 高知大学医学部附属病院精神科講師
認知症患者に治療の説明をして同意を得たものの,本当に内容を理解してくれているのか不安になった経験はないでしょうか。特にアルツハイマー型認知症の人には,取り繕いがみられることから,理解しているように見えて実はまったくわからないまま同意しているケースがあります。このようなときには,オープンクエスチョンで質問したり,こちらの説明について自分の言葉で説明してもらったりする方法が有効です。
侵襲性が高く,予後に大きく影響するような治療に関する意思決定においては高い同意能力が必要とされます。一方で,予防接種など侵襲性の低い治療やメリットが明らかな治療については,認知機能が低下していたとしても「同意能力あり」と判定できる場合もあります。必要とされる同意能力は,このように治療の内容によって変化してきます。
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